コーディングエージェント時代のターミナル入門 — Claude Code・Codex CLI・Antigravity CLIとgrill-meスキル
TL;DRコーディングエージェントの主戦場はターミナルに移った。Claude Code・Codex CLI・Antigravity CLI(agy)はいずれも「自然言語で指示し、エージェントがファイル編集とコマンド実行を代行する」TUIであり、権限管理の設計思想を理解して使うのが要点。実装前の要件詰めには、たった3行のスキル「grill-me」が驚くほど効く。
2025年から2026年にかけて、コーディングエージェントの主戦場はIDEのサイドパネルからターミナルへ移りました。Claude Code、Codex CLI、そしてGoogleのAntigravity CLI。いずれもターミナル上で動くTUI(テキストユーザーインターフェース)で、自然言語の指示からファイルの読み書き、コマンド実行、テストまでをエージェントが代行します。GUIを介さない分、SSHで接続したリモートサーバー上でもそのまま動くのが大きな利点で、クラウドやインフラを学ぶ人間ほどターミナル型エージェントとの相性が良いと感じています。
3つのCLIエージェントの共通構造
名前は違っても、基本の操作モデルはほぼ共通です。プロンプトボックスに日本語で指示を書く。エージェントがコードベースを読み、編集計画を提示する。ファイル編集やコマンド実行のたびに許可を求めてくる。この「許可」の粒度をどう設定するかが、安全性と速度のトレードオフを決めます。たとえばAntigravity CLIでは/permissionsから自律レベルを選べて、設定ファイルに許可・拒否コマンドを明示できます。
{
"permissions": {
"allow": [
"command(git)",
"command(npm test)"
],
"deny": [
"command(rm -rf)"
]
}
}
gitやテスト実行のような可逆・読み取り中心の操作は許可し、破壊的なコマンドは明示的に拒否する。この発想はAWSのIAMポリシーで学ぶ「最小権限の原則」と完全に同型です。エージェントに与える権限も、人間やプログラムに与える権限と同じ思想で設計すべきだという気づきは、CLIエージェントを触って得た一番の収穫かもしれません。
Antigravity CLI(agy)のセットアップ
GoogleのAntigravityは、エージェント管理アプリ(Antigravity 2.0)とエージェント型IDE(Antigravity IDE)、そして軽量TUIのAntigravity CLIという複数の製品で構成されており、名前の関係がやや分かりにくいのが正直なところです。CLI自体はmacOSならcurl一発で導入できます。
terminalcurl -fsSL https://antigravity.google/cli/install.sh | bash
agy
初回起動時にGoogle OAuthで認証し、テーマやモデルを選びます。モデルは/modelから切り替えられ、Gemini系に加えてClaude系のモデルも選択肢に並びます。Gemini CLIからの移行にはagy plugin import geminiが用意されており、既存設定を引き継げます。操作面では、@でファイルパス補完、!でターミナルコマンドの直接実行、/rewindで会話の巻き戻し、/forkで過去の時点から会話を分岐、といったコマンド群を覚えると一気に手に馴染みます。Claude Codeにも対応する概念がほぼあるため、1つを深く覚えれば他へはすぐ移れます。
grill-me:3行で挙動が変わるスキル
エージェントに指示を出すとき、最大の失敗要因は「自分の要件が曖昧なまま実装を始めさせること」です。これに対する解として気に入っているのが、Matt Pocock氏が公開しているAgent Skill「grill-me」です。Agent Skillは通常数十行から百数十行の指示書になりがちですが、grill-meはたったの3行。趣旨は「計画の全側面について、共通認識に達するまで徹底的に質問せよ。質問は一度に一つ。コードベースを調べれば分かることは質問せず自分で調べよ」というものです。
Claude Codeで/grill-meを添えてざっくりした要望を書くと、エージェントが選択肢付きの質問を一つずつ投げてきます。体験談として、18回、多いときは24回も質問が続いたという報告があり、私自身も「もう十分では」と思うほど深掘りされました。しかし全質問が終わる頃には要件と実装方針が固まっており、そのまま「これで実装して」と言えばセッション履歴自体が実装計画として機能します。プランモードで詳細な計画書を生成しては全書き直しを繰り返すより、対話で計画を少しずつ固める方が納得感もテンポも良い。欠点は、真剣に答え続ける必要があるので純粋に疲れることです。ただ、それだけ考えなければ良いものは作れないということでもあります。
使い分けの現在地
現時点での私の整理はこうです。日常の実装はClaude Codeを主軸にし、grill-meで要件を固めてから書かせる。Gemini系モデルの挙動を試したいときや、Googleアカウントベースの環境ではagyを使う。Codex CLIはGitHub連携のワークフローで試す。ツールの優劣を断定するには各ツールの更新が速すぎるため、「権限管理・コンテキスト管理・計画の立て方」という共通概念を軸に据えて、個別ツールは乗り換え可能なものとして扱うのが、学習戦略として最も堅いと考えています。